スクラム本輪読会をどのように開催・運用しているか
この記事はユアマイスター アドベントカレンダー 2022の 20 日目の記事です。 ユアマイスターのエンジニアの koyachi です。普段は主にパートナーさん向けアプリの開発に従事しています。
ユアマイスタープロダクト部では現在 SCRUM BOOT CAMP THE BOOK の輪読会を開いています。今回はその内容や運用方法について紹介します。 輪読会の始め方やスクラムをチームに導入する際のアイデアの一つとして参考になれば幸いです。
輪読会を開いたきっかけ
私は 2022 年に中途入社しましたが、私がチームに参加してしばらくするといくつかの点でうまくまわっていないなと感じるようになりました。以下に例を上げます:
- チームとして物事を進めようとする際、コミュニケーションがうまくなりたたないことがあるように見えた
- スクラムに関するプラクティスを運用していはいるが前提知識や認識が違っているためかスクラム用語の指すものと実際の構造にずれがある
- 進捗状況が見えづらい
こういう課題はスクラムを知っている・スクラムができているとカイゼンできるんだよな、ということは以前の職場でスクラム開発の経験があるのでわかりました。最初は自分が所属するチームのみでスクラムの理解を深めるための輪読会をしようと考えましたが、他のチームでも同様の課題があるかもしれないのでプロダクト部の Slack チャンネルで声をかけたところ、15 名程度の参加者が集まりました。
どのように始めたか
各エンジニアチームのリーダーと Slack チャンネルでの呼びかけに反応してくださった方で一度集まりました。その MTG で輪読会へ参加する方、会の進め方などを決定しました。
当初の考えではまとめ担当者がまとめた内容に対して周囲が意見があれば都度発言するスタイルの輪読会を考えていました。人数が多いこともあるため、まとめ担当者がまとめ内容共有後に皆で議論したいお題を共有し、そのお題について Google Meet のブレイクアウトルームで少人数グループに別れて議論することにしました。
少人数のグループに分けて議論するアイデアは自分だけでは最初から思いつきませんでした。人数が多い場合もともと想定していた「意見があれば都度発言するスタイル」だと発言する人に偏りが出たり発言タイミングが重なる機会が多くなることが想像できます。開催前にフィードバックをもらうことで初回からできるだけよい状態の運営が開始ができたため、意見をもらえてよかったです。
また、この輪読会が終わったあとに参加者の理想像についても定義しました。事前に理想像を定義することでその状態になるための輪読会が運用できているか確認できます。理想像について以下のように定義しました。
- 本を読み終え、スクラムについて知識として得ている状態
- 開発プロセスに対してカイゼンの糸口となる提案ができるようになっている
- 自分たちでよりよく変えられる、という意識を持っている
どのような内容か
SCRUM BOOT CAMP THE BOOK を課題図書として選択しました。割と広く知られているスクラム本でありマンガパートと説明パートがあります。マンガによるストーリーのわかりやすさとそこで出てくるスクラムのプラクティス説明が理解がしやすいと考えたためこの本を選びました。
どのように運用しているか
毎週開催だと多忙な方は継続参加できない可能性もあるので隔週開催としました。目次に沿った単位で区切り、担当者がまとめと議論したいお題提供をします。担当者の順番は適当に決めて、スプレッドシートでスケジュール調整等を行いました。 輪読会当日までにまとめ担当者はコンフルエンスのページにまとめ資料とお題について記載します。
予定日時になったら Google Meet に集まり、担当者が議題提供とまとめ共有をします。議題を先に提示しておくことでまとめを聞きながらも議題について考えられるようにしました。 担当者によるまとめ共有後、Google Meet のブレイクアウト ルームで4人程度のチームに別れて議題について議論します。部屋分けするときに 20 分タイマーも指定しています。 ブレイクアウト ルームから戻ってきて各チームで話した内容を代表者が全体に共有します。この時間は 10 分前後です。議論内容に対してファシリテーターが感想などをコメントしています。 議論内容の共有が終わったら、次回まとめ部分と担当者確認し、解散します。
ファシリテーターはその後 Slack に今回の輪読会のトピックなどコンフルページとともにを共有しています。輪読会に参加していなくても雰囲気を知ることができることを狙った行動です。
輪読会に対する参加者からのご意見フィードバック、今後について
持ち回りにしているまとめ担当が一巡したこととアドベントカレンダーで本記事を公開するタイミングがよかったため輪読会に対するアンケートを実施しご意見やフィードバックを集めました。感想の一部を紹介します。
- 本を読むことより、理解を深めたり、自分の言葉で説明できるようになるための会話の時間があることがとても重要だと感じました。
- 毎回ディスカッショントピックがあること、チームを混ぜたルームにしてくださっているのでいろんな視点での意見が聞けて勉強になります
- みなさんで話題に対して議論できるので、いろいろなキヅキが毎回あります!
頂いた感想・意見を見る限りはスクラムの知識は増えていっている状態のようです。事前に定義した状態に近づいていると言えるでしょう。
一方、まだスクラムを効果的に運用できている雰囲気はありません。自分が所属するチームについてはチームにカンバン、タスク分解、見積もり、スプリントゴール、ふりかえり等のカイゼンや導入を進めたため以前の状態に比べると大分よくなったと感じています。スクラムの導入を進めるのであれば輪読会などで知識をインプットするだけではなく、スクラムマスターの働きをする人が各チームに必要だな、と感じています。
今後は自分が所属するチームがより自立的に動くにはどうすべきか、またチーム外にもよい影響を与えるにはどうしたらよいか考え活動していこうと思います。